男性更年期障害の主な原因はテストステロン(男性ホルモン)の減少です。
そのため男性更年期障害においては、不足しているテストステロンを補うホルモン治療が代表的な治療法になります。
しかしホルモン補充療法は副作用などの点もふまえ、適応基準が設けられています。
ホルモン補充療法は筋肉注射によるものが基本的ですが、そのほかにもパッチ療法(貼り薬)やゲル剤(クリーム)などによる投与法もあります。
今回は男性更年期障害におけるホルモン治療について、ご紹介したいと思います。
男性更年期障害におけるホルモン補充療法とは
男性更年期障害はテストステロン(男性ホルモン)の減少が主な原因のため、不足したホルモンを補充する治療法が有効とされています。
その方法の基本は筋肉注射による補充ですが、ほかにもパッチ療法(貼り薬)やゲル剤(クリーム)などによる補充療法もあります。
筋肉注射の場合、2週間ごと、または3~4週間ごとにテストステロンを補充します。
毎日行う必要がないことと保険が適用されるというメリットの半面、テストステロンの値が変動しやすいことと、治療の中断ができないというデメリットがあります。
薬の量や間隔には個人差がありますが、保険が適用されるため費用は1回につき約3000円程度になります。
パッチ療法やゲル剤は医師の管理下のもとに行います。
投与が簡単であることとテストステロンの値が安定するというメリットの半面、毎日の投与が必要であることと、いつまで続けるか判断が難しいというデメリットもあるようです。
こちらは保険が適用されないため、費用は治療を受ける病院で異なりますが、1か月あたり5000円~1万円が相場のようです。
男性更年期障害におけるホルモン補充療法の適応基準
男性更年期障害におけるホルモン補充療法は、その基準が現在もまだ検討中であり、また効果や副作用の点を考えるとすべての人に適応される治療法ではありません。
そこで現在示されいる一般的な適応基準を以下に記しますので、参考にしてください。
①自覚的・他覚的な症状があわれれていること
まずは男性更年期障害の症状があることが適応の基準の1つです。
男性更年期障害の代表的な症状は
●身体的症状・・・体のほてり・発汗・頭痛・めまい・耳鳴りなど
●精神神経症状・・・無気力・疲労感・倦怠感・不眠など
●性機能関連症状・・・性欲の低下・勃起不全(ED)・頻尿など
があります。
②血中の遊離テストステロン値が基準をみたしていること
男性更年期障害においては様々な検査を行いますが、血液検査で一定の遊離テストステロン値を示した場合のみホルモン補充療法が適応されます。
日本においては、血中の遊離テストステロン値が8.5pg/mL未満の場合に、ホルモン補充療法が第一治療法として選択されます。
また8.5pg/ml以上11.8pg/mLの場合は、治療の選択肢の1つとして適応されることもありますが、11.8pg/mL以上の場合はホルモン補充療法は行わず、他の治療法が選択されます。
③ホルモン補充療法が行えない病気がないこと
男性更年期障害以外に以下に挙げる病気がある方は、ホルモン補充療法を受けることはできません。
- 前立腺がん
- 中等度以上の前立腺肥大症
- 多血症
- 重度の肝機能障害
- 重度の腎機能不全
- 重度の高血圧
- 睡眠時無呼吸
など
まとめ
男性更年期障害はその認知度の低さと、加齢による症状と重なるため、なかなか自覚しにくい病気です。
しかし原因不明の症状が実は男性更年期障害によるものだと診断された場合、ホルモン補充療法によってそれらが改善するケースが多く見られます。
気になる症状がある場合は、内科や泌尿器科、心療内科や精神科などに一度相談してください。
また近年では男性の病気に特化した専門外来やメンズクリニックなども増えてきていますので、受診してみるとよいでしょう。